はじめに
Thunderbird Portable をクラウドドライブで運用していると、メールデータを1ファイルで管理する mbox 形式は、通信量を増大させ、コンフリクトも発生させやすくあまり適切とはいえない。
しかし、最近の Thunderbird はメールひとつひとつを個別のファイルで管理する maildir 形式をサポートしている。
ただし、新しいアカウントのデータ保存形式しか設定できない。
つまり、既存アカウントの1ファイルで管理する mbox 形式からのコンバーター(変換ツール)は存在しない。
そこで、手動で移行することになる。以下はその手順である。
なお、同様の手順で逆の maildir → mbox も可能であると思われる。
※以下の方法は、Windows の Thunderbird Portable を想定している。Mac や Thunderbird の場合はファイルパスの形式が変わってくる点に注意。
手順
【設定例】
名前:aaa bbb
Windowsユーザー名:ccc
メールアドレス:username@domain.dummy
パスワード:xxx
※これらの値は使用環境に合わせて変えること
(0) バックアップを取る
Thunderbird を終了する
Thunderbird フォルダ毎 ZIP 圧縮するなりしてバックアップコピーをとる
…終わったら、Thunderbird を起動する
(1) 新しいアカウントから保存形式を maildir に変更
▽ 「ツール」 → 「オプション」 → 「一般」タブ → 「高度な設定」
新しいアカウントのメッセージ格納形式:メッセージ単位 (maildir 形式)
(2) 既存の mbox アカウントの設定を変える
▽ 「ツール」 → 「アカウント設定」 → username@domain.dummy アカウントを開く
アカウント名:
例えば、
username@domain.dummy
であるのを
username@domain.dummy (mbox)
などに変更する
▽ 「ツール」 → 「アカウント設定」 → username@domain.dummy アカウントの「サーバ設定」
「新着メッセージがないか起動時に確認する」: OFF
「新着メッセージがないか ?? 分ごとに確認する」: OFF
サーバー名:
例えば、
domain.dummy
であるのを
mail999.domain.dummy
などに適当に変更する
(3) 新 maildir アカウントを作る
▽ 「ツール」 → 「アカウント設定」→ 「アカウント操作」 → 「メールアカウントを追加」
あなたのお名前:aaa bbb
メールアドレス:username@domain.dummy
パスワード:xxx
パスワードを記憶する:ON
「続ける」をクリック
「手動設定」をクリック
※ここで IMAP と POP3 を適切に設定すること。
「詳細設定」をクリック
▽ 該当アカウントの「サーバ設定」へ
メッセージの保存先:
ここを新しい保存先に設定する
ここでは
C:\Users\ccc\Creative Cloud Files\Thunderbird\Data\profile\Mail\username@domain.dummy_maildir
とする
※上記は、Adobe Creative Cloud の場合.環境によって、Thunderbird 前のパスは変わる
※この段階では新着メッセージの自動受信は OFF にしておいた方が良いだろう…。
「OK」をクリックして、Thunderbird を再起動する。
(4) 新 maildir アカウントへ mbox アカウントのメールをコピー(★実質ここが mbox → maildir 変換)
▽ Thunderbird を起動し、一度、新 maildir アカウントの username@domain.dummy からどこか適当にテストメールを送っておく
▽ アカウント“username@domain.dummy (mbox) ”から“username@domain.dummy”へメールを手動コピーする
(旧フォルダを開いて、メッセージを全選択し、新フォルダにドラッグ&ドロップ)
対象フォルダは以下の通り
・受信トレイ
・下書き
・送信済みトレイ
・迷惑メール
・ごみ箱
▽ アカウント“username@domain.dummy (mbox) ”と同等のメッセージフィルタを“username@domain.dummy”に設定する
※これは残念ながら手動で行わないとならないようだ…。
※この段階で新着メッセージの自動受信を ON にすると良いだろう…。
(5) 旧 mbox アカウントを削除する
▽ 「ツール」 → 「アカウント設定」 → “username@domain.dummy (mbox)”を選択 → 「アカウント操作」 → 「アカウントを削除」
※なお、アカウントを削除しても、メッセージデータフォルダは
C:\Users\ccc\Creative Cloud Files\Thunderbird\Data\profile\Mail\username@domain.dummy
に残っているので、データ移行に失敗していても、「メッセージの保存先」を設定した mbox アカウントを作れば救出可能。
★上記操作をして、表示されるアカウントの順番が変わってしまうことがあるが、設定エディタやアドオンで変更可能である。
詳しくは「thunderbird アカウント 順番」で Web 検索されたし。