Intel Core-i7 Haswell で静音PCを組む (3)
△ i7-4765T内蔵GPU
△ RADEON HD 7750
購入からずいぶん時間が経ってしまった。
現在、家のインターネットはauスマホのテザリングがメインという状況であることが諸悪の根源なのであるが、たまたま今回のパーツ構成にはWiFiがなかったため、USBテザリングを使っていた。
しかし、このUSBテザリングを使っていると5~10分でPCがハングアップしてしまう(DRIVER_POWER_STATE_FAILUR)。
それが判明するまでに、Intel SSD 335には随分辛く当たってしまった。
結論的には、Intel様の品質には全くもって問題がなかった。
以前、OCZのSSDでハングを繰り返し、結局数ヶ月後のファームウェアアップデートで解決、という経験が先入観を産んでしまった。
現在のSSDの品質は常用に問題ないものであるようだ。
さて、ベンチマーク結果である。
計測ソフトは、
・ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編(以下、FF14ベンチ)
・FINAL FANTASY XI for Windows オフィシャルベンチマークソフト(以下、FF11ベンチ)
・ドラゴンクエストXベンチマークソフト(以下、DQXベンチ)
・CrystalMark 2004R3(以下、CrystalMark)
の4本。
あまりベンチマーク系ソフトに詳しくないため、スクエニ系ばかりになってしまった…。
また、PCMark7は途中でハングアップしてしまったため、断念した。
条件として、Intel Core i7-4765Tの内蔵GPU描画時と、ファンレスビデオカードRADEON HD 7750描画時を測定した。
Haswell i7最低位モデルである4765Tがどこまで1~2世代前ビデオカードのエントリーモデルと張り合えるかがポイントとなる。
早速結果を列挙する。
なお、ゲーム系は全てフルスクリーンで計測している。
△ i7-4765T内蔵GPU
△ RADEON HD 7750
i7-4765T内蔵GPU | RADEON HD 7750 | |
---|---|---|
FF14ベンチ 1280x720最高品質 |
2407 普通 |
6593 とても快適 |
FF14ベンチ 1280x720高品質デスクトップPC |
2472 普通 |
6799 とても快適 |
FF14ベンチ 1280x720高品質ノートPC |
3306 やや快適 |
8851 非常に快適 |
FF14ベンチ 1280x720標準品質デスクトップPC |
5533 とても快適 |
12484 非常に快適 |
FF14ベンチ 1280x720標準品質ノートPC |
5520 とても快適 |
12455 非常に快適 |
FF11ベンチ HIGH |
7680 | 9535 |
FF11ベンチ LOW |
11044 | 11539 |
DQXベンチ 1280x720最高品質 |
4300 普通 |
6893 快適 |
DQXベンチ 1280x720標準品質 |
4989 普通 |
8477 とても快適 |
DQXベンチ 1280x720低品質 |
5658 快適 |
8682 とても快適 |
DQXベンチ 640x480最高品質 |
5534 快適 |
8437 とても快適 |
DQXベンチ 640x480標準品質 |
7061 とても快適 |
8803 とても快適 |
DQXベンチ 640x480低品質 |
8726 とても快適 |
7611 とても快適 |
CrystalMark | 279646 | 308358 |
△ i7-4765T内蔵GPU
△ RADEON HD 7750
ゲーム系のベンチばかりのためか、全体的にRADEON HD 7750優位であった。
しかし、ベンチを見ている限り、最高品質にしない限りはi7-4765T内蔵GPUでもプレイに支障は無いように見えた。
デスクトップPC用Haswellにおいては、ほとんどのモデルはIntel HD Graphics 4600 (GT2)搭載だという。
少なくともDQXをプレイする分にはHaswell内蔵GPUでも問題なくプレイできるように見えた。
詳しい設定を見たわけではないが、見た目に目立つゲームの品質設定の違いは影の描画方法の違い(丸影、形状アルファ、ステンシルバッファ系)ぐらいで、気にしなければ気にならないレベル(筆者は職業柄気になるが…)。
逆に、解像度は見た目にもかなり影響が出るのでHD解像度(1280x720)でプレイしたいところだが、こちらもHD解像度でほぼ問題ないように見えた。
◆温度
どちらかというと静音PCとしてはこちらが本題、の温度についてであるが、結論から言うと危険なレベルまで温度上昇は起きなかった。
今回は実際面と筆者の快適性のため、夏の猛暑の中でもエアコン様の支配下のテストであった。
そのためか、ファンレスでも運用できる、という結果になった。
なお、ここでいう「ファンレス」は正しくは「ATX電源ファンのみ」であるが、使用しているケース「Antec Mini P180」がデュアルチェンバー構造で、電源とマザーが別区画になっており、実質マザー側のエアフローには影響しないと思われるため、「ファンレス」という表現にしている。
一般的な構造のATXケースにファンレス電源を内蔵した場合は電源分の発熱が追加されることを考慮に入れる必要がある。(外部電源…AC アダプタならば実質問題ないだろう。)
温度は、上記ベンチマークの最高解像度かつ最高品質実行時の最高温度である。
こちらも、i7-4765T内蔵GPU時と、ファンレスビデオカードRADEON HD 7750時の2パターン計測した。
i7-4765T内蔵GPU | RADEON HD 7750 | |||
---|---|---|---|---|
CPU | CPU | GPU | ||
ファンレス | FF14ベンチ | 58℃ | 46℃ | 78℃ |
FF11ベンチ | 40℃ | 48℃ | 58℃ | |
DQXベンチ | 58℃ | 53℃ | 70℃ | |
CrystalMark | 58℃ | 51℃ | 66℃ | |
天板ファン LOWのみ | FF14ベンチ | 46℃ | 43℃ | 63℃ |
FF11ベンチ | 45℃ | 43℃ | 49℃ | |
DQXベンチ | 44℃ | 41℃ | 56℃ | |
CrystalMark | 49℃ | 45℃ | 56℃ |
GPUが78℃という温度をどう見るかにもよるが、個人的には個人用途PCとしてはぎりぎり範囲内だと思っている。
(もちろん、メーカーに言わせれば許容温度は60℃ぐらいだとは思うが…。)
とはいえ、業務として会社で使用するとなると、ファンは付けたほうが良いのは明らかである。
計測後は40℃代まで落としてから再計測という流れだったが、ファンレスの場合はそこまで冷えるまでに時間がかかった。
また、追加のビデオカードの意義という観点から言うと、温度面ではやはり無いほうが良いと言える。
内蔵GPUで満足できるなら、追加ビデオカードは無しの方が確実に良いと言える。
もちろん、FPSなどの更にヘビーなゲームは世の中に山ほどあるわけであって、タイミングがそれほどシビアでないRPGなどは軽量な方といえるかもしれないので、そのような用途にはビデオカードが必須だろう。
そんなヘビーユーザーには静音PCは難しい選択肢といえる。
そもそも、PS3やXboxなんかもしばらくプレイしていると結構な騒音を発する。
そんな昨今のゲーム事情の中で、静音PCでFF14ぐらいはプレイできる、というのは一つ選択肢が増えたといえるのではないかと思う。
なお、音という点では、「Antec Mini P180」は天板に20センチの大型ファンを搭載している。今回はこれをLOW(低速)設定でテストし、問題ないと判断したが、この設定ではエアコン環境下では動作音は聞こえなかった。
外付けのUSBハードディスクのぶおーんという音の方が目立った。
◆考察
結論としては、Haswell PCによる静音PCは構築可能で、ファンレスも夢ではない。
外気温にもよるが、熱暴走してしまうような心配もほぼない。(耐性温度が40℃程度といわれるHDD搭載の場合は要注意だが。)
また、重くないゲームは余裕でできてしまう。
もちろん、サーバーにも向いているといえる。
ファンレスは推奨できないが、大口径のケースファンがあれば十分運用できるといえるし、CPUファンがあれば安全性はより高くなる。
他の Intel Core iシリーズのxxxTモデルも有望だ。i3のモデルは未発表だが、i5であれば一般的なオフィスアプリケーションや簡単な画像加工程度であれば十分であろう。
自作PCは大きさが不利になってしまいがちだが、その分大きなCPUクーラーを搭載可能であり、その分静音化にも有利である。
これをもってしてノートPCより有利とは言い難いが、組む楽しみや画面位置の高さという面(ノートPCでは画面位置が低いため背が丸くなってしまいがちだ)では自作のデスクトップPCはまだ存在価値があると思う。
大きさはある程度許容できるが音は静かな方が良い、という人は自作の静音PCにチャレンジしてみると良いだろう。